屋部前田原(やぶめーだばる)貝塚

沖縄貝塚時代前期~近世

【所在地】名護市字屋部

 屋部前田原貝塚は、字屋部の小字前田原に所在する遺跡です。現在の名護湾の海岸から直線で約500m内陸にあり、標高3m程度の低地に位置しています。遺跡の東側を西屋部川が流れており、北側は前田グスクと呼ばれる丘陵地になっています。

 昭和61(1986)年に屋部区の字誌づくりのため行われた現地調査によって発見され、採集された遺物から沖縄貝塚時代後期後半からグスク時代にかけての遺跡であると推測されました。

 その後、平成14~16(2002~2004)年度にかけて国道449号名護バイパス道路整備事業に伴う緊急発掘調査が行われ、土器や石器、グスク時代初期に特徴的なカムィヤキ・滑石製石鍋・中国製の玉縁口縁の白磁が出土したほか、青磁や青花、褐釉陶器、沖縄製陶器など多くの遺物が出土しています。

 土器は、沖縄貝塚時代前期のものが出土し、また、近世期の炉の跡が複数検出されたことから、当初の予想よりもさかのぼる前期からより新しい時代である近世までの遺跡であることが分かりました。

 検出された遺構としては、貝塚時代中期の層から方形の石組遺構が検出され、住居跡と考えられています。また、貝塚時代後期後半からグスク時代初期の遺構として、平地住居や高床倉庫などの掘立柱建物跡と思われる柱穴が約200基検出されました。名護市内でこの時期の住居跡の検出は初めてで、貴重な発見となりました。その他にも、貝塚時代中期のものと考えられる埋葬人骨も出土しています。

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屋部前田貝塚 沖縄貝塚時代中期の住居跡
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屋部前田原貝塚 出土土器
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屋部前田原貝塚 石器(石皿とすり石)
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屋部前田原貝塚 石器(チャート製石鏃)

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