たばこの煙には5000種類以上の化学物質が含まれます。そのうち約70種類は発がん性があると報告されています。喫煙は、循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病、歯周病など多くの病気と関係することが明らかとなっており、予防できる最大の死因です。
また喫煙していると、外科手術を受けた際に治癒が遅れたり、術後の呼吸器合併症が増加します。
たばこが全身にもたらす影響
がん |
免疫力低下 | 歯周病 |
虚血性心疾患 | 脳卒中 | 糖尿病 |
流産や早産、低出生体重児 | 骨密度の低下(骨粗鬆症、骨折) | ED(勃起不全) |
SIDS(乳幼児突然死症候群) | COPD(慢性閉塞性肺疾患) | ニコチン依存症 |
名護市の死因をみると男女ともに一位はがんとなっています。部位別75歳未満の死亡者数においては、肺がんが最も多くなっています[1]。名護市ではがん検診も実施してますのでぜひご活用ください。
加熱式たばこの影響
加熱式たばこの煙には、ニコチンや発がん性物質などの有害な物質が含まれています。
加熱式たばこの煙に含まれる発がん性物質については、紙巻きたばこよりも少ないとされていますが、その一方で、紙巻きたばこには含まれない有害化学物質があるという指摘もあります。
喫煙を開始してからがんに罹患するまでには、20~30年という期間がありますが、加熱式たばこが休息に普及してからまだ10年になりません。現時点では健康影響についての研究は限られており、加熱式たばことがんの因果関係は明らかになっていないのが実情です。
受動喫煙対策
⑴.受動喫煙とは
他人の喫煙により発生したたばこの煙を吸わされることを受動喫煙と言います。喫煙者が吸うたばこの煙を「主流煙」と言いますが、反対側から立ち上る煙を「副流煙」と言い、副流煙には主流煙よりも多くの有害物質が含まれています。また喫煙者が吐き出した煙を「呼出煙(こしゅつえん)」と言い、有害物質も含まれています。
受動喫煙との関連が確実であると判定された肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群(SIDS)の4疾患について、日本では年間約1万5千人が受動喫煙で死亡しているとされています[2]。
⑵.受動喫煙対策
「望まない受動喫煙をなくす」ことを目的に、2018年7月健康増進法の一部を改正する法律が成立しました。多くの施設において原則屋内禁煙となり、20歳未満は喫煙エリアへ立ち入り禁止となりました。また喫煙のためには喫煙室の設置が必要になり、標識掲示が義務づけられています。
5/31は「世界禁煙デー」、5/31-6/6は「禁煙週間」
世界禁煙デー
WHO(世界保健機関)は「たばこを吸わないことが一般的な社会習慣になること」を目指し、5/31を世界禁煙デーと定めています。
2025年テーマ:Unmasking the Appeal: Exposing Industry Tactics on Tobacco and Nicotine Products(魅惑の正体:タバコおよびニコチン製品の業界の手口を暴く)
禁煙週間
厚生労働省では世界禁煙デーを含めた5/31-6/6を禁煙週間と定めています。
2025年テーマ:受動喫煙のない社会を目指して~私たちができることをみんなで考えよう~
さあ、禁煙をはじめてみよう(スマート・ライフ・プロジェクト)
禁煙治療
長年たばこを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。禁煙後早ければ1か月たつと、咳や喘鳴(ぜんめい)などの呼吸器症状が改善します。また、免疫機能が回復して、かぜやインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなります。
さらに禁煙後1年経つと肺機能が改善し、禁煙2~4年後には虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが約1/3減少するといわれています。
健康面以外でも、火災の減少や健康保険費用の減少、たばこ代の節約、受動喫煙の軽減など、禁煙のもたらすメリットは大きいです。
引用文献
[1]第3次健康なご21プラン・食育推進計画.https://www.city.nago.okinawa.jp/kurashi/2018080700046/.
[2]厚生労働省.受動喫煙ー他人の喫煙の影響.https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-02-005.
参考文献
1.厚生労働省.eーヘルスネット.https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco.
2.国立がん研究センターがん情報サービス.たばことがん.https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/smoking/index.html.